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瀬戸田の黄昏すぺいす

−瀬戸田の好きなところ、思い出をおりまぜながら−
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初詣(法然寺〜万徳寺〜向上寺〜八幡神社)



 瀬戸田での思い出として、最初に思い出したのは初詣。ぼくの中では、これは今でも除夜の鐘とセットになっている。
昔住んでた家は瀬戸田の商店街から少し奥まったところにあって、お寺もとっても近くで。
家の前にある道に続く階段を上ればお寺が2軒並んであるの。

ちいさい頃は「おおみそかだよ!ドラえもん」(そんなのなかったっけ?)を見ながら夜9時頃まで過ごし、そこから先は親たちと一緒にテレビを見ながら過ごしたように思う。
23時40分頃になって「もうすぐ今年も終わりだねえ…」なぁんて、家族でしみじみ話す頃にフライング野郎が「ゴォーーーン…」と鐘を鳴らす。寺に近いから音もデカイ。
しみじみ気分も一瞬で終わり。こちらも負けじと「出かける準備しようか」とイソイソとやり始める。

法然寺
まず最初に行くのは階段を上ってすぐの「法然寺」(ほうねんじ)。 しかし大人はまずスタートでコケる。玄関を出たとたんに近所の人に出会い、「昨年はお世話になりました。今年も…」なんて挨拶をはじめてしまう。 「まだ0時まわってないのにそんなのいいじゃんか。」落ち着きのないぼくは、内心そう思いながらさっさと法然寺へ向かう。法然寺ではアメやチョコがもらえる。 無くなる前にもらわなくっちゃ!親が数々の強敵に出会い、お寺に着く頃にはぼくは鐘も突き終わり、焚き火のそばでチョコを食べながら、和尚さんがチョークで柱に刻む 除夜の鐘の数を数えている。親が鐘を突き終わると、次はお隣の「万徳寺」(まんとくじ)へ。


 万徳寺へは法然寺の階段を下りてから行くのではなく、そのまま墓の間をくぐり抜けて行く。
遊び慣れた墓場は怖くない。よそ様の墓石を倒した日の夜は怖かったけれど。
万徳寺でいつも悩んでたこと。除夜の鐘を先に突くか、それともいただけるものを早くもらって食べちゃおうか?

ここではお神酒とあたたかい蕎麦がもらえる。ぼくはどうやら楽しみを後に残しておく方が好きみたいで毎年ここに来る度に些細ながらも同じ事で少しだけ考え、 そして必ず前者を選んでいるような気がする。除夜の鐘を突く人達の列に並びながら、オレが一番でかい音を出してやろうなんて思っているうちに自分の番がやってきて、 柱にチョークで書かれた「正」の数を見て、自分がまだ百八つの数の内に入っていることを確認して鐘を突く。ンゴ〜〜〜ンン…。

自分の鳴らした鐘の余韻を聞き、耕三寺の方までは聞こえたかなぁなんて思いつつ、早速お神酒と蕎麦をもらいに行く。毎年の事ながら蕎麦を作ってくれる おばちゃんたち、ご苦労様でやんす!お神酒をクイッとやって、瀬戸田港の方を眺めたり、やってくる人達を眺めたり、お寺の掲示板に貼ってある「今月の標語」 みたいなものを読んだり(実はこういうの見るのは結構好きで、長野県は松本の、城山公園への上り口にあるお寺の掲示板には毎月見に行ってたこともある。友人 の家に行きがてら。今年の五月頃の万徳寺さんには「願わずとも 草は生え、願えども 花は散る」って書いてたっけな?)しながら暖かい蕎麦を食べる。気分上々。
寒い夜空の下で食べる暖かい蕎麦はイイ。ツユまで飲み干して笑顔でごっちゃん。お寺の境内に座らせてもらって少し休憩。友達と出会うことが多いのもだい たい万徳寺。ここで親と別行動になることも。
向上寺

 一休みしたらお次は向上寺へ。万徳寺の裏口から抜けて向上寺へ向かう階段を登って行く。夜道の階段を懐中電灯で照らしながら登って行くのは、照らされる中に 次から次へと現れる階段を見つめてるばかりで頭がクラクラしそうになる。自分の足下だけ照らして行く訳ではなくて、家族の足下も照らさなくちゃいけないし、 かといってぼくはせっかちだから皆より少しだけ先に行きたい。そうすると「千と千尋の神隠し」で、千が湯婆(ゆばーば)の姉妹の所へ尋ねて行った時に迎えに 来てくれた、ぴょんぴょん跳ねる一本足のアンドン君(あのキャラ、名前なんていうんだろ?)のような感じで家族の足下を照らしながら登っていくカタチになるの。 駆け足で人よりちょっとだけ先行く優越感。ここでコケたらぶざまだから、ちょいと慎重に。んーで、ちょっとだけ待つ。早く行こうぜぇ皆ァ!なんてカンジを体で 表現するとなお優越感が味わえる。
長く書いたけど所要時間は5分程度。そんなに焦らんでも直ぐ着く。

 向上寺の鐘は突くのが難しい。勢いよく突こうとしても棒(鐘を突くヤツ。なんて言うんだろ?)を思い切り後ろまで引くことができないから、短い振り子運動を させながら突く時だけ力を入れる、とでも言えばいいのかな?どこのお寺の鐘も音色が違うけれど、ここの鐘は音色が高くてちゃんと鳴らせると気持ちがいいの。 難しいからかもしれないけれど。そして突いた後はやっぱり食べ物。和尚さんの奥さんが作ってくれたゼンザイを焚き火の傍でいただきながら、和尚さんの読経と 木魚に聴き入る。
 お経の中身は分からないけれど、お経を読み上げるのを聴くのが好きだ。できれば沢山のお坊さんで読みあげてほしい。そうするとバリのケチャ のようなトランス状態になれそうな気がするから。ラップでもなくてグレゴリオ聖歌でもなくって「坊主トランス」、なんて新しい音楽の分野はできないかな。
○○寺の和尚さんはモンゴルの「ホーミー」を思わせるような声でお経を読むから、そういう人にはソロでお経を読んでもらうとか。木魚のアドリブも可。

妄想にひたってしまった…。ゴホゴホッ。

 真っ暗な中で焚き火を見つめるのも好きだ。
まぶしいオレンジの中でだんだんと白くなっていく焚き木。さまざまな形に変わっていく火と闇との境界線。飛んでいく火の粉。 焚き火の前で、過去にあったさまざまな出来事を振り返ってみたりするうちに、いつのまにか振り返ることを止めて無心になって火を見続け、顔が火照って我に返る。
そんなところが好きなのかもしれない。
目に火の残像が残ったまま、向上寺を後にする。

最後は沢にある八幡神社へ。
八幡神社は人が多いから、だいたいこれくらいお寺を巡ってから八幡神社に行くと行列もほとんどなく参拝できてちょうどいい。 人が多いのは元々苦手だから、ここはさらりと参拝しておしまい。強欲だけど小心者のぼくは後ろに人が並んでると気が散ってしょうがないから、普段なら少ない額の 小銭を賽銭箱に放ってたくさんのお願い事をするのだけれども、こんな時はカッコだけで心の中は「ンン〜〜、ン!」って唱えるぐらいでおしまいにしちゃう。
さらりと参拝を終えて、横でおっちゃん達が配っているお神酒と甘酒をクゥイッと飲んで「お腹もそこそこいっぱいでいい気分だから帰るか」

そんな感じで瀬戸田で迎えてたぼくの新年。(最近はそうでもないけど)



2003.9.18up



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