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瀬戸田の黄昏すぺいす

−瀬戸田の好きなところ、思い出をおりまぜながら−
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亀の首

亀の首


瀬戸田港から海岸沿いに高根大橋の下を通り抜けて行くと、右への急カーブになる所に亀の首と呼ばれる場所がある。
お地蔵さんがぽつねんと海を見つめている所。

昔はここでよく遊んだ。
家族で泳ぎに行ったり、向かいに見える高根島まで泳いで渡ったり。
満潮の時にはここで泳いだり潜ったり、船の波を待って浮かんでいたり。
(この辺は、強風が吹かないときはそれぐらい穏やか)
泳ぎ疲れておなかが減ると、岩にへばりついているカキを石で割って食べたりもした。

潮が引いてしまうと磯になり、亀の首岩(という名前の割りにはむしろ甲羅みたい)に登ったり、カニや小さな魚をつかまえたりした。
結構ワイルド。
でも天敵のフナムシを見て逃げ惑う。そんな感じ。

フナムシ・・・ヤなもの思い出した・・・。
ヤツラは人様から自発的に逃げてくれるからそれほど怖がる必要はないけれども、姿だけで充分に有害。
時々ドッキリ。

間違って自分方面に逃げてくるヤツ。
Tシャツから出てくるヤツ。
近くの岩陰からいきなりわらわらと集団暴走するヤツラ。
突然そんなヤツラに出くわすと冷静な自分も最大級に混乱。

絶滅してほしい生物トップクラスなのに、こんなヤツラに限って生命力抜群とはこれいかに?

・・・海に行く時は彼らにご用心。


亀の首でいろいろと遊んだ覚えがあるのだけど、「亀の首」と聞くと必ず思い出すことがある。

多分小学一年生のとき。
家族で亀の首に来て楽しんでいた。
ぼくは相変わらず船の波がくるのを待って、沖の方を向いてドーナツ浮き輪でプカプカ浮かんでた。
ふと振り返るとなんだか親たちがすこし遠くに見える。
ちょっとは沖までこれるようになったよー♪なんて思い、親に「ヤッホー!」と声を掛ける。
親も「ヤッホー」と手を振ってくれる。

気が付くと、先程よりさらに親が遠くに見える。
また「ヤッホオー♪」と手を振る。

親は手を振らない。
なんだか少し騒ぐ様子を見せた後、ぼくの名前を必死に呼びかけた。
熱烈な応援だ。そこまでされると恥ずかしいから浜辺に戻ろう。

・・・戻れなかった。それどころかどんどん親が遠くなっていく。
親はますます必死でぼくを応援してくれる。
それが応援ではなくて近くの人々に救援を求めてる助けの叫び、
そしてぼくはただ単に、潮に流されているだけだということがようやく理解できた。




今度はぼくが泣き叫ぶ番だった。
周りにいた小学校の高学年の子が助けようとこっちに向かってきたが、あまりの遠さに諦められた。
親は堤防沿いに走って叫び続ける。
ぼくは桃太郎のようにどんぶらこっこと流されていくだけ。
そのうち高根大橋の下を通過してしまった。

どこまでぼくはいくのかな・・・。
なんて思ったとき、ふいに何かにつきあたり、ぼくは止まった。
足も届く。
ラッキーなことに昔の船着場に着いたみたい。

何人かの小学生が先回りしてくれていて、ぼくは手を引っ張られて再上陸を果たした。
ここに海終わり、地始まる・・・ぼくの漂流の旅はここで終わった。

多分15分くらいの出来事だったと思う。
その後、しばらく海に行くことが親に禁じられ、瀬戸田プールで浮き輪なしで泳げるようにと特訓されたのは、 その夏か翌年の夏だったように思う。

亀の首、少し苦い思い出のある場所。


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