作品
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松永真(まつなが しん) 「千里眼 "のぞいてみよう、瀬戸田から世界が見える"」
炭素鋼鋼管(エポキシ塗装)
1500cm×451cm×46cm
私は彫刻家ではありません。グラフィック・デザイナーです。
そんな私が今回「せとだビエンナーレ」にノミネートされたのは、昨年の春、
銀座の和光でメタルフリークスと称した、掌に載るほどのブロンズ彫刻シリーズを発表したことが、きっかけでした。
決して私が彫刻家に転身しようというわけではありません。それは制約の多いデザインの仕事の反動としての、
私の創作衝動の純粋な発露にすぎなかったのです。
何の目的もなく、生まれでたメタルフリークスたちがこのような大役を導き出すとは、まさに予想もしないことでした。
彫刻家でない私には、作家としてのスタイルがあるわけではありません。
自然と、この「せとだビエンナーレ」をデザイナーの目で見つめることになりました。
島の人たちが、作品をどのように眺め、何を想うのか。あるいは島を訪れた人たちに何を感じて欲しいのか。
そんなことを考えながら、瀬戸田町を訪ね、海を眺めたのです。
“のぞいてみよう、潮戸田から世界が見える。”
この作品には、このようなキャッチフレーズがついています。
海は、その広がりだけでなく、彼方にある未知の世界を私たちの心に描き出します。
海を前にした島の暮らしに、ワクワクするような導線を与えてみたかったのです。
そして「島ごと美術館」を目指すこのビエンナーレの、世界に向けた発信を象徴する気分もありました。
「千里眼」。メタルフリークスとして生まれたこの作品は、ここに最もふさわしい場所を見つけたと言えるでしょう。
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