作品
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川上喜三郎(かわかみ きさ) 「ベルベデールせとだ」
鉄(ポリウレタン塗装)
850cm×1930cm×418cm
私が彫刻をはじめるきっかけはやはり自然との出逢いでした。森羅万象の摂理に魅せられ自然と同調する時の或種の恍
惣をくりかえし体験する事によって写真、音楽そして彫刻がそれらの印象を記憶する表現として身近に感じられる様に
なったのは英国に住むようになってからの事です。以来プラスマイナス、光・影そして反射をテーマに私は制作を続け
ております。
島を一周して選んだ敷地は南部の生口港です。島特有の壁状の防波堤は此処では入江を抱き込む様に配置されたコンク
リートの大階段でまさに野外劇場の観覧席です。舞台は干満する入江で背景は瀬戸内の海と重層する島の稜線です。青
色の小さな飛込台の回りで水に親しんでいる子供達の情景は日常そのものであり印象的です。劇的空間に変容するポテ
ンシャルを持つ此の入江に注目し私は舞台を据える事にしました。
題名のベルベデールはランドスケープに注意深く配置される瞑想、休息の場の事です。町、学校の祭や行事、国内外の
演劇家、音楽家、舞踊家達の舞台として使われるかも知れない。しかし日常的にはくぐって登って遊べる巨大な遊具に
なるかもしれない。
地元の方々の協力によって制作・設置された此のレモン色の大きな円環は太陽、月、星、雲、風そして海鳥等遠来の客
を迎える南の入口を象徴している様です。レモンリングが人と自然の出逢いの場になる様、切に願っております。
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