作品
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植松奎二(うえまつ けいじ) 「凪のとき赤いかたち/傾」
御影石・鉄(ポリウレタン塗装)
500cm×230cm×100cm
人が立っているのも、樹々が立っているのも、すべて重力に反してである。
僕達の感覚の根底には、無意識のうちに重力感覚がある。
赤い円錐体が微妙な緊張の中でかろうじて空間に傾いて立っている。
さかさになった円錐体は大地の石の上に、地球に向かって、斜めに立った石は空に向かって伸び、
あるいは空から地上に落ちてきた石塊のようにある。
円錐体の先端と大地との間には新しい地場が、一つの静止の時間が生み出されている。
そこには地球の引力あるいは重力、支えと重力、重さとバランス、物の存在のあやうさ、地球の部分としての石の存在がある。
地球のある一点としての瀬戸田町の海辺と山の間。風と凪、潮のみちひき、波の音、海の水平線あるいは空気のながれの中に、
空間の安定と空間の崩壊の境目にある関係がみえてくる。
見る人々の視点の移動によってさまざまな形と風景をつくり出し、人々が身体で感じとれるような、
空間にふれるような場でありたいと願っている。
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