島ごと美術館

〜島の風景と一緒に味わう〜
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作品
@1羽の鳥の為に
A風の中で
B空へ
C凪のとき 赤いかたち/傾
D波の翼  
E地上と地下の間で
Fねそべり石
G球を包む幕舎
H海からの贈り物
Iうつろひ
J飛石
K千里眼
Lベルデールせとだ
M地殻
N塩池
OCATS DANCE
P空/海 YURAGI

作品展示場所
£番外編  
わしもみてきた
 
  保田春彦(やすだ はるひこ)        「球を包む幕舎」

きゅうをつつむばくしゃ

鉄(ポリウレタン塗装)
218cm×320cm×275cm





地域の協力をえて

   三原から高速艇で20分、潮の流れが早い瀬戸田の水路にさしかかると、正面にアーチ形をした大きい鉄橋が見えてくる。 その右手前波防壁脇の、高根島側から瀬戸田港を見はるかす位置に、私は作品を据えることにした。
せとだビエンナーレ3回目にして漸く高根島にも作品が一つ在籍することになった。

 その上私にとっての幸運は、作品制作にあたって島の造船所から全面的な協力をえられたことである。 今度の話が決まってから、設置するまでの限られた期日を考えると、東京の狭い工房で人手をかりて制作するには厳し過ぎる条件であった。
もし地元で制作をひきうけて貰える鉄工所のようなところでもないものかと主催者に申し出たところ、島にある可成り大きな造船所を紹介され、 話は順調に進展したのである。

 作品は、近年私がつづけている「幕舎」の主題にかわりはないが、今回は中央に大きい球体をすえ、三方からぶ厚い鉄板で囲う形をとった。
この形体そのものは、造船所にとってはさして難しい工法を必要としないにしても、作者の眼が届かない微細なところまで意を汲んで作業 していただいたことでは、大変なご苦労をかけたことになる。 更には、造船所ならではのノーハウを随所にみせてくれたことは申すまでもない。

 しかし私にしてみれば、建造中の巨大な船体の傍で組み立てられる自作は、あまりにも矮小で稚戯に似ていて、 己の造形の非力を今さらにしておもいしらされる皮肉な羽目となった。 さまらばれ私には、いまだ質朴な美しさをとどめるこの島で起きた一夏の、実りの多い意義あるイヴェントであった。




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